2月13日に発生した地震で、書架から落ちた本などの整理が漸く終わったのが、3月20日の午前中だった。
ほぼ1ヶ月近くもかかってしまったことになる。
こんなに時間がかかってしまったのは、単純に自分のための時間が作れなかったためだ。
退職してからというもの、何故か私のことをあてにして相談を持ちかけて来たり、或いは頼みごとをされたりすることが矢鱈に多くなった。
これは今に始まった事ではないが、どうも私は人のために働くという宿命みたいなものを持っているような気がする。
まあ、それも悪くはない。何か人様のお役に立てるなら、寧ろ喜ばねばならないことだろう。と、自分に言い聞かせてはいるのだが...

壊れた本棚を直したり、すべての本を並べ直し、どっと疲労感に襲われたところへ、息子夫婦が孫たちを連れて遊びにやって来た。
疲れてはいたけれど、孫たちの顔を見るとつい嬉しくなって相手をしてしまう。
じいじは孫たちにとって、格好のオモチャなのである。
風呂では孫たちがじいじの身体に、プラスチックで出来た魚のオモチャをペタペタ貼りまくり、それだけならまだしも、スーパーボールを思いっきりぶつけてそれらの魚を落とそうとする。
これが結構痛い。
「痛テテテテッ!!」と思わず悲鳴をあげると、余計に面白がって硬いスーパーボールをぶつけてくる。
終いには小玉スイカくらいの大きさのゴムボールを、魚が貼りついた体ではなく、じいじの顔面に容赦なくぶつけてくる。
顔の真ん中をゴムボールの衝撃で真っ赤にしながら、「このヤロー」とこっちもついムキになって孫に投げ返す。
そんな死闘が入浴中に繰り広げられるが、そのじいじオモチャも満身創痍。以前に比べて、体力と気力が低下してしまい、風呂から上がるとぐったりしてしまうことも多くなった。

この3月20日もそんな感じで終わる予定だったのだが、みんなで食卓についていたその時、地面の下から突き上げるような振動と地鳴り、そして大きな揺れが襲って来た。
妻が息子の嫁に「子供たちを守って」と叫ぶ。
それぞれの携帯電話から緊急地震速報の警報音が鳴り響く。
ああ、またかと頭の中にあの悪夢が蘇ってくる。

揺れが収まったあと、外出している息子や妹などに連絡を入れるが、とりあえず皆無事であった。
怯える孫たちを抱きかかえながら、嫁が一言
「お義父さん。2階で大きな音がしましたけど、大丈夫ですか?」
いや、大丈夫ではないのだよ。多分ね。
私は嫁の問いには無言のまま2階へと上がって行ったが、今日、1ヶ月かかって漸く片付けた大量の本が以前と同じように散乱していた。
ちなみにロフトの漫画本も、どこから手を付けたらよいか分からない状態だった。
『はい、最初からもう一度』
そんな言葉が聞こえたような気がした。

コメント

アミ
2021年3月24日6:42

まぁ~、なんてお言葉をかけてよいのやら…。
はい! 「最初から、もう一度」ですね。
皆さま、ご無事で何よりでした。(*^^)v

梅子
2021年3月24日8:16

東北ばかりもう勘弁して欲しいですよね(><)
棚から落ちない工夫もされていると思いますが
今一度考案が必要かもですね
今回の揺れは
関東の友達も長くて気持ち悪かったと言っていました

まるこ
2021年3月24日9:48

おはようございます。
ご無事で何よりでした。
しかしこんな立て続けにやってくると怖いですよね。
ヒコヒコさんの蔵書の数は半端ないですから片付けるだけでも大変ですよね。
梅子さんののご意見一理あると思いますよ。
しかしこれが大震災の余震??どこまで続くのでしょうね…。
とにかく皆さんご無事でよかった。

ヒコヒコさん。お気持ちお察しします。
私も父が亡くなった後は色々プランニングしていたのですが、青天の霹靂みたいな現実が待ってました。だいぶペースが掴めて来ましたが、それまでは「なんで??」と自問自答でした。

可愛いお孫さん。「孫は来てよし、帰ってよし」なんて言いますけど。すぐに大きくなりますから…(甥っ子や姪っ子がそうでした)
あの頃は…なんて懐かしむ時が来ますから、今は沢山楽しい時間を過ごし下さいね。
そして何よりくれぐれもご自愛下さいませね。

nophoto
2021年3月24日13:28

ヒコ様 ご家族の皆様もご無事で何よりでした。
二階の多くの本たちは博識なヒコ様の大切な友。
場所を変えなくてはいけないのでは?
またお孫さんたちとの楽しい時間が目に浮かびます。
小さい間だけと言われますが、ヒコ様のご家庭は隙間はなさそうですね。
じぃじ がんばれ!

マダムM
2021年3月24日18:05

大量の蔵書が散乱、ショックですよね。でも、ヒコヒコさんがその場にいらっしゃらなかったことはラッキーだったのではないかしら?もし、書庫にいらして、本の下敷きになっていたら、じいじオモチャは存在しなかったかもしれないですよ。
命あっての物種、ゆっくり本の整理に励んで下さい←鬼応援!

マサムネ
2021年3月25日10:35

先週の地震の時は、実家に居て予兆のカタカタの時に「来たか!」と気づきました。 波に乗っているような揺れでしばらく頭が揺れているようでした。 お片付け少しずつでも進みますように・・・・・。

ヒコヒコ
2021年3月28日8:48

アミさま
ご心配をおかけしております。
本の整理はほぼ終わりましたが、一説には29日が「満月」のため、大きな地震が発生するのではと噂されています。
本は片付ければそれで済む話ですが、人的被害が出ないことを祈るのみです。

ヒコヒコ
2021年3月28日8:53

梅子さま
棚から牡丹餅なら嬉しいのですが、棚からハードカバーでは洒落になりませんね。
我が妻からは、枕元に厚くて硬い本は積み上げないことと再三再四指導を受けておりますが、耳を貸さない私に呆れ返っております。
今はただ、就寝中に地震が発生しないことを願っておりますが...

ヒコヒコ
2021年3月28日9:08

まるこ様
色々とご心配をおかけしています。
親父の介護や、孫たちの幼稚園、保育所への送迎。それに家族の仕事のことや知人の相談事などで、私の生活パターンが大きく変わってしまいました。
そのためこの日記もなかなか書くことが出来なくなって来ましたが、可能な限り書き綴っていくつもりです。
まるこさんをはじめ、コメントを寄せて頂いている皆様方への返信が、大変遅くなってしまう失礼をお許し頂きたいと思います。
現役を退いてからの方が、より忙しいなんて、これはある意味有難いことなのですが、体力的にはかなりキツイものがあります。
特に孫たちの相手が大変!
可愛い盛りなので、つい無理をしてでも相手をしてしまうのですが、あとでガックリと疲れ切ってしまうという、この繰り返しです。
でも、まるこさんがおっしゃる通り、これも今だけのことと頑張っております。

ヒコヒコ
2021年3月28日9:33

庵さま
本は自分にとって「師」であり「友」でもあります。中には「反面教師」みたいな奴もおりますが、一冊一冊が人格を持って私に語りかけて来ます。
もちろん相手は本ですから、生身の人間のように双方向での会話は出来ませんが、例えば同じ著者の本を何冊か読んでいると、次第に頭の中にその人物像が出来上がって来て、やがて脳内での会話が可能になってくるのです。
そんな訳でいつしか本も溜まりに溜まり、今ではこの身に危害まで及ぼすのではないかと思われるほどの量になってしまいました。
場所を変えるにも、我が家の中ではその場所さえ見つからない状況となってしまいました。
本は売っても二束三文。そこで最近では知人や妻の友人などに、読みたい本があれば差し上げるという作戦を取っています。これ、結構好評です。
私があの世に行く時までには、在庫ゼロにするなんていうのも良いかもしれません(笑)

ヒコヒコ
2021年3月28日9:40

マダムMさま
まったくおっしゃる通りです。
その場にいたら、死なないまでも骨の一本か二本くらいは折れていたかもしれません。
それにじいじオモチャはだいぶガタが来ていますので、いつ壊れてもおかしくない状態です。
その一方で、本に埋もれて死んでいたなんて、本読み冥利に尽きるかもしれませんねぇ。
妻には悪態をつかれるでしょうけど(苦笑)

ヒコヒコ
2021年3月28日9:45

マサムネ様
嫌ですねぇ、地震は。
それも突然来ますからね。
今回は緊急地震速報よりも早く揺れがやって来たような感じでした。
明日29日は「満月」とのこと。
満月と新月には地震が多いという話があります。
どうか巨大地震という災禍が起きないことを、今はひたすら願うばかりです。

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