宮城には美味しい蕎麦を出す店がいくつもある。
休日になると、それらの店の前には長蛇の列が出来る。
私も大の蕎麦好きなので、時々蕎麦屋巡りを楽しんだりしているが、やはり蕎麦好きの二男に誘われて、蔵王山麓は青根温泉にある「川音亭(かわどてい)」を初めて訪れた。
蔵王山麓から流れ出る清冽な川音川。その畔で遠く訪れた人々に手打ち蕎麦を提供する川音亭。
店の周囲は深い森に囲まれ、日常の喧騒を忘れさせてくれる。
仙台市内から高速道を使っておよそ一時間あまりで到着。店の中を覗くと先客で一杯だったが、空いたらお呼びしますと言われ、クルマの中で待つことになった。
クルマの窓を開けると冷気を含んだ爽やかな蔵王おろしが流れ込んでくる。時々、野鳥の囀りが聞こえて来るがその姿は見えない。
暫くすると、店の中から満足げな顔をしたお客たちがぞろぞろと出て来る。
その後からおそらく家族従業の娘さんなのだろう。我々を呼びにやって来た。
広くも狭くもない店内には小上がりもあるが、私たちはテーブル席につく。
息子から「ここは天ぷらも美味しい」と聞かされ、私は野菜天ざる蕎麦を注文した。
大抵こういった店では量が少ないという先入観があり、大盛りを頼んでみたのだが、その予想は見事に外れてしまった。
それは写真を見て頂けたらお分かりになるだろう。これだったら普通盛りでも良かったかなと後悔する。
しかし、ひとくち蕎麦を啜ると蕎麦の香りが鼻腔を駆け抜け、手打ちの麺にも甘みがあって蕎麦つゆとよく馴染む。そうなると箸を置くことさえ忘れて、あの大盛りの蕎麦がどんどん胃の腑へ落ちて行く。
揚げたての天ぷらは都会で口にするそれとは異なり、田舎の素朴な味わいだ。おまけに具材の野菜も大きい。天ぷらだけを食べてもお腹が十分に満たされそうだ。
ちなみにこの川音亭では期間限定で『寒ざらし蕎麦』や岩魚も食べることが出来る。特に寒ざらし蕎麦は、蕎麦の実を冷たい川音川の水にさらすことで甘みがいっそう増すのだという。
身も心も十分に満たされ、さて帰ろうかと思ったら、息子から近くにもう一軒良い店があるから行こうと誘われた。
「もう蕎麦は食えないよ」と答えると、蕎麦屋ではなくてカフェだという。
まさかこんな山中にカフェがあるのかと驚くと、それがあるんだよと息子はニヤリと笑って見せた。
(続く)
休日になると、それらの店の前には長蛇の列が出来る。
私も大の蕎麦好きなので、時々蕎麦屋巡りを楽しんだりしているが、やはり蕎麦好きの二男に誘われて、蔵王山麓は青根温泉にある「川音亭(かわどてい)」を初めて訪れた。
蔵王山麓から流れ出る清冽な川音川。その畔で遠く訪れた人々に手打ち蕎麦を提供する川音亭。
店の周囲は深い森に囲まれ、日常の喧騒を忘れさせてくれる。
仙台市内から高速道を使っておよそ一時間あまりで到着。店の中を覗くと先客で一杯だったが、空いたらお呼びしますと言われ、クルマの中で待つことになった。
クルマの窓を開けると冷気を含んだ爽やかな蔵王おろしが流れ込んでくる。時々、野鳥の囀りが聞こえて来るがその姿は見えない。
暫くすると、店の中から満足げな顔をしたお客たちがぞろぞろと出て来る。
その後からおそらく家族従業の娘さんなのだろう。我々を呼びにやって来た。
広くも狭くもない店内には小上がりもあるが、私たちはテーブル席につく。
息子から「ここは天ぷらも美味しい」と聞かされ、私は野菜天ざる蕎麦を注文した。
大抵こういった店では量が少ないという先入観があり、大盛りを頼んでみたのだが、その予想は見事に外れてしまった。
それは写真を見て頂けたらお分かりになるだろう。これだったら普通盛りでも良かったかなと後悔する。
しかし、ひとくち蕎麦を啜ると蕎麦の香りが鼻腔を駆け抜け、手打ちの麺にも甘みがあって蕎麦つゆとよく馴染む。そうなると箸を置くことさえ忘れて、あの大盛りの蕎麦がどんどん胃の腑へ落ちて行く。
揚げたての天ぷらは都会で口にするそれとは異なり、田舎の素朴な味わいだ。おまけに具材の野菜も大きい。天ぷらだけを食べてもお腹が十分に満たされそうだ。
ちなみにこの川音亭では期間限定で『寒ざらし蕎麦』や岩魚も食べることが出来る。特に寒ざらし蕎麦は、蕎麦の実を冷たい川音川の水にさらすことで甘みがいっそう増すのだという。
身も心も十分に満たされ、さて帰ろうかと思ったら、息子から近くにもう一軒良い店があるから行こうと誘われた。
「もう蕎麦は食えないよ」と答えると、蕎麦屋ではなくてカフェだという。
まさかこんな山中にカフェがあるのかと驚くと、それがあるんだよと息子はニヤリと笑って見せた。
(続く)
コメント
無性にお蕎麦と天麩羅食べたくなりました。
以前にも申し上げた様に、夫の実家は蕎麦屋でした。私も夫も大のお蕎麦好きです。
蔵王の山懐のお店。綺麗な水を使ったお蕎麦。味合わなくとも、美味い!間違いありませんね。羨ましい限りです。
しかしヒコヒコさんも罪作りなお方です。
後30分〜40分後には配膳車に載せられた病院の食事が運ばれて来ます。
その前に、こんな蕎麦テロの様な日記を拝読してしまった私。
余りにも切ないじゃないですか!
あらら!
それは辛い思いをさせてしまいましたね。
いろいろなところで罪作りをしております。大変申し訳ございません。
この蕎麦テロを逆にバネとして、1日も早く良くなってくださいませ。
次回はコーヒーテロを予定しております。いわゆる予告テロですが、最初に許しを乞うておきますね。ごめんなさい!
家の近くにはもっと気に入った店があります。お蕎麦も美味しいし、そばつゆが
きりっとしてとても美味しい♪
ミーハーだから有名店巡りも楽しいですけど、日常気軽に行ける店があるといいと思いませんか?もちろんお財布に優しい(笑)
次回は珈琲ですか、楽しみで~す(^_-)-☆
普段、つっかけを履いて、ふらっと暖簾を潜れるような蕎麦屋があると良いですね。
残念ながら私の自宅の近くにはそんな蕎麦屋は無いのですが、昔、東京は永田町で仕事をしていた頃、職場のすぐ近くに「黒澤」という、ズバリ黒澤明監督所縁の蕎麦屋がありまして、仕事帰りなどよく通ったものです。
現在もその店はあるようですので、機会があればまた顔を出してみたいと思っています。
でも、巣鴨駅にあった立ち食いそばも美味しかったなあと。
もう二十年以上も前のことですから、どうなっているのでしょう。
私にはこちらの方が似合っているかもしれません。
美味しそう…❣
メニューを見たら普通のお蕎麦もあり、食べたいなと思いましたが、我が家からはちょっと遠いです(-_-;)
高田馬場の駅構内にあった立ち食いそばが美味しかったのに、無くなりました。
そうそう、渋谷駅も2軒あったのに無くなりました(涙)・・・巣鴨も無くなったと思います、構内はジューススタンドしか無かったと。
以前はうどん派でしたが最近はそば派に傾きつつあります
年を取ると男性は蕎麦打ちに
女性はパン作りにハマると言います
なぜでしょうね(笑)
特に、そばと天麩羅の組み合わせは、絶品。
この、奥深い食は、日本人だからこそ。外国人は天麩羅は、好きそうですが、蕎麦、その物の味や、つゆは、苦手そう。。。あの、ずっずっと音で、食べる所も。
「蕎麦」って、江戸っ子とか、粋っていう言葉が思い浮かびますね。
日々、罪作りばかりをしております。
お許しください!
さすがですね。やはり黒澤に行かれていましたか。
私の場合は逆にコースを取ったことがありません。興味がありますね。
それにしても駅そばが次々に消えているとは、なんとも寂しい限りです。
巣鴨駅の駅そばも無くなってしまいましたか。ショックです・・・
歳を取ると男性は蕎麦打ちに、女性はパン作りにハマるとのことですが、実は私、両方ともハマっておりまして、蕎麦打ちに関しては山形県天童市にある某老舗の蕎麦屋さんで修行?させてもらい、その際に店主より腕が良いとお褒め頂き、パン作りに関しては一時期毎日のように食パンを作っておりました。
そんな私を妻だけは「器用貧乏の典型」と冷ややかな眼差しで見下ろすのでございます。
思い返せば、私の蕎麦好きもそんなに昔からというわけではありません。
同僚に蕎麦好き酒好きの男ががおりまして、仕事帰りに蕎麦屋で一杯ひっかけるようになったのが始まりでした。
それから蕎麦を油で揚げたのも旨いですね。酒のつまみとしては最高です。勿論、蕎麦屋の天ぷらはどれも美味しいですが。
一読者さんのおっしゃるように、江戸っ子が蕎麦をつゆに殆どつけずに食べるという、粋というか痩せ我慢というか、うどんには無い話があるのも、蕎麦文化ならではですね。
ズズズッと大きな音を立てて啜ることが許されるなんてとても素敵です。
外国の方々はきっと眉を顰めることでしょうが、これが出来てこその日本人と言えましょう。