回転する誕生会
三男の誕生日。今年で満26歳になった。26歳といえば私が結婚した年齢でもある。息子の顔を見ていると、自分はもっと大人びた顔をしていたような気がするのだが、どうなのだろう。
さて、いつもならささやかな誕生祝いを行うのだが、今回はなにかと忙しく、また我が親父の体調不良や二男のお嫁ちゃんの緊急入院などがあって、結局、長男と私の三人だけで食事会をすることになった。
三男のリクエストにより寿司に決まったが、当然のことながら「廻らない寿司」は却下。でも、最近の回転寿司は馬鹿に出来ない。ネタの良さを売りにしている店もあるし、メニューも実に豊富だ。
余談だが、三年ほど前に金沢へ遊びに行った折に、駅近くの回転寿司に入ったが、日本海の幸がとても豊富で、のどぐろなども普通に回ってくるのでいたく感動したことがある。

仕事帰りに三人で待ち合わせて、私お勧めの回転寿司屋へ入る。ここは仙台でも1、2を争う人気店だ。
ボックス席につくと、さあ、宴の始まりである。
私と長男は生ビールで、下戸の三男はウーロン茶で乾杯。
寿司にロウソクを立ててもらおうかと言ったら、まったくの無視。
三男からはオーダーの邪魔をするなよと言わんばかりの顔をされた。
この店もタッチパネル式のタブレットを使って注文するのだが、気遣いの長男は比較的安いものばかりを選んでいるのに対して、そんなことお構いなしの三男は、ここぞとばかりに高級ネタの寿司を選んでいる。皿の色を見れば、一皿500円や600円のものばかり。もしこれが我が子でなければ殺意を覚えたかもしれない。

そんな息子たちを見ていると、この間の焼肉屋を思い出した。二人の食べっぷりを見ているだけでこちらの腹が一杯になってくる。
それでも十代の頃の息子たちに比べたら、随分食べる量は減ったと思う。当時は一人に一つずつ炊飯器を与えようかと真剣に考えたことさえあったくらいだ。
毎月の米の消費量は息子三人で60キロ。およそ米俵1俵分だ。もし妻の実家が農家でなければ毎月の米代だけでも馬鹿にならない金額だった。
妻の実家を訪ねるたびに、その帰り際、義父が倉庫の大型冷蔵庫から30キロ入りの米袋を出しては持たせてくれた。その義父も息子たちが社会人になるのを見届けると、まるで自分の役目を終えたかのように亡くなった。今はただ、義父に感謝である。

昔のことを思い浮かべているうちにも、テーブルの上には皿が積み上がって行く。見方を変えれば息子たちが元気であるという証拠だ。これは親としては嬉しいことなのである。
(さあ、息子たちよ。金はいくらでもある。今宵は好きなだけ食べろよ)と、口元まで出かかったその言葉を、ビールで押し戻したのだった。

コメント

アミ
2019年7月3日10:23

親としては嬉しいやら、財布の中身を考えると、気が滅入るやら…。(-_-;)
難しい処です。
いずこの親も、経験済み。(笑)
お皿の数だけ、健康のあかし。
おめでとうございます~♬

しゆい
しゆい
2019年7月3日10:28

ヒコヒコさんの幸福が伝わってきます(*⌒∇⌒*)
食べ盛りの息子さんたち。お米の消費量。
奥様のご実家からの米袋(いいな、いいな♪)
回転寿司で宴を囲む、素敵です。
そういえば回転寿司はとんとご無沙汰の我が家、誘ってみようかな。わくわく。

まるこ
2019年7月3日10:53

息子さんお誕生日おめでとうございます。
食欲旺盛、素晴らしい事だと思います。親に連れて行って貰うときは財布を気にせず食べる娘でした。が。今の様な介護生活が始まると立場は逆転です。
お昼何を食べたい?と聞けば「お寿司」高島屋のデパ地下で買って行きます。今日は大量の食材をリュックに入れての移動。登山者の様です。吹き出す汗を拭い、今新幹線の中です。娘のお財布は薄くなるばかりですよ。

マサムネ
2019年7月3日11:42

岳父母、さらにその父、母(妻の祖父母)と僕らとおじおばで小田原でもちょっと有名な回らない寿司屋さんに連れて行ってもらったことがあります。

「好きなだけどうぞ!」と言われたのでどんどん頼んだら数日後

「あんた達は二度と連れて行かない!」と妻に笑っていったそうです。

「とろせい」という裏駅にある小さなお店なんですが、とても美味しかったです。

支払いはウン万円だったそうです(2桁はいかなかったけど)

それ以来寿司といえば「回る」寿司です(汗)

マダムM
2019年7月3日16:12

息子さん、お誕生日おめでとうございます!!
お父様とお誕生日を祝うのはいつまででしょうね(^O^) その内、彼女さんとふたりで、次は家族で、となっていくのですよね(^^♪
私はお寿司大好きで、回っていても回っていなくても、押してあっても、巻いてあっても大好き(^_-)-☆
仙台はお魚が美味しいから、絶対美味しいでしょうね!!

nophoto
2019年7月3日22:54

三男様 お誕生日おめでとうございます

nophoto
2019年7月3日22:57

あらま、一行しか送れませんでした
もっといろいろ書き込んでいたのですが、やめろってことだったのでしょう。

>(さあ、息子たちよ。金はいくらでもある。今宵は好きなだけ食べろよ)
最近、同年代の人たちからよく耳にする言葉です。 「金はある」 (笑)

ヒコヒコ
2019年7月4日8:43

アミさま
これは普遍的な問題。いずこの親も経験済みとのご指摘は、まことその通りかと思います。
今回は妻と二男が都合により不参加でしたが、皿の枚数がそれ以上に増えなくて、私の健康は保たれました。

ヒコヒコ
2019年7月4日8:43

待花。さま
さすがに義父が亡くなってからは、米も自分で買うようになりました。米って結構高いんですね。今更ながらに義父に感謝です。
回転寿司での誕生会でしたが、待花。さんもたまには如何ですか。なかなか楽しいものですよ。
息子たちには常々誕生日というものは、生んでくれた母に感謝する日だと教えています。
みんな、その説教に分かっているというような顔をするのですが、果たしてどこまで分かっているものか...

ヒコヒコ
2019年7月4日8:43

まるこさま
介護の大変さは私も経験があるだけによく分かります。本当にお疲れ様です。
息子たちもそれぞれが社会人になり、毎月家にもお金を入れてくれるようになったので、そのことではとても助かっています。あとはとっとと結婚して貰いたいのですが、まったくその気なしなので、親として少々焦っています。
本当ならこういう誕生会も、自分の奥さんや子供とやって欲しいというのが、私の正直な気持ちです。ああ、そんな日がいつになったら来るのでしょう。溜息の毎日です。

ヒコヒコ
2019年7月4日8:44

マサムネさま
回らない寿司で好きなだけ食べたのですね。私なら宝くじでも当たらない限り、そんな無謀な?行為は出来ませんなあ。そりゃあ、あんた達を二度と連れて行かないと言われますねぇ。でも、笑ってそうおっしゃったというその言葉には、とても愛情が感じられました。
私も回らない寿司屋に行かなくなって、何年経つでしょう。
最後の晩餐は「回らない寿司」にでもしましょうか。

ヒコヒコ
2019年7月4日8:44

マダムMさま
まったくマダムMさんのおっしゃる通りでして、本当なら彼女や奥さんと一緒に祝って欲しいところです。そんな日がいつになったら来るのやら、早く親離れをして欲しいと願っているのですが...
ところで仙台は海も近く、塩竈市には大きな魚卸売市場がありますので、新鮮な海産物はいつでも食べることが出来ます。
特に塩竈市は寿司屋の数が多く、全国的にも有名な寿司店が何軒かあります。もしこちらにお越しになる機会があったら、塩竈まで足を伸ばしてみてください。地元のお酒、浦霞と一緒にいかがでしょう。牛タンも良いですが、みちのく仙台海の幸を是非堪能して頂きたいと思います。

ヒコヒコ
2019年7月4日8:45

庵さま
お祝いの言葉をありがとうございます。
せっかく書き込んで頂いたのに、消えてしまったのですか?
それは申し訳ありませんでした。Diarynoteに代わってお詫びいたします!
さて、同世代でよく聞く言葉。「金はある」
これは我が親父の口癖です。
ただし、「ある」の意味がちと違う。
(飲み代くらいは)がそのあとに続くようで。

nophoto
いち読者
2019年7月4日13:02

息子さん、お誕生日おめでとうございます。
数日間、出かけて留守にしていたので、今までのDiarynoteをまとめて読んでいます。おっさんの目にも涙を読んで、お腹抱えてひとりで笑ってます。
つくづく、ヒコヒコさんの、文章力には感心させられますが、ドラマや、映画の
脚本なども検討されたらどうでしょう。
今や、副業の世の中。人生100年時代。まだまだ活躍出来ます。
一発、ヒットすれば、回らないお寿司など、いくらでも。

ヒコヒコ
2019年7月4日14:03

いち読者さま
御心あるアドバイスをありがとうございます。
自分に文才などあるはずもないと思い続けて数十年。その思いは今も変わりませんが、老後の楽しみとして何かに挑戦してみたいなという気持ちも、僅かながら芽生え始めました。
年金だけでは暮らしていけそうもありませんしね。
回らないお寿司のために、チャレンジしてみましょうか(汗)

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