新車が納車されて一週間が経った。すると私に断りなく、息子が勝手に岩手の温泉宿へ予約を入れて、家族旅行の計画を立ててしまった。当然、クルマのオーナーである私は温泉へご招待されるものとばかり思っていたら、自分達だけで行くつもりだったらしい。
(おい!それはないだろうよ!)
呆れて言葉も出ない。
買った本人がまだ遠出もしていないクルマなのに、息子はちゃっかりそのクルマで旅行に出かけようなんて図々しいにも程がある。こんな息子に育てた覚えは...少し、ある。
(使えるものは親でも使え。モラルに反することでないならば)
昔、酔っ払った勢いで息子に言って聞かせたその言葉。まさか、今この時に実行されようとは思わなかった。
私と妻の不機嫌が息子に伝わったようで、自分たちが申し込んだ温泉宿へ人数の追加を申し込んだのだが、既に時間切れでアウト。
「もう駄目だって」
息子はそう言って複雑な笑みを浮かべた。
結局、私と妻は盛岡市内のホテルに泊まることになった。

岩手への小旅行。出発前にこんなごたごたがあったが、いざ出かけてみるとやはり楽しい。
クルマも快適だし天気も良い。途中、一関市で高速を降りて世嬉の一酒造で昼食をとる。皆が食べたがっていた果報餅御膳。八種類の餅に雑煮もついて、お腹が満ちたところで再び高速に乗り、盛岡市を目指す。
息子の嫁のリクエストで小岩井農場へと向かうが、農道の脇には菜の花の黄色い帯が何処までも続いている。
緑鮮やかな牧草地に放牧された牛たち。そんな牧歌的な風景の中をクルマはまきば園へとひた走る。
土曜日の午後だったが、まきば園の広大な駐車場はほぼ満車状態。しかし、園内に入るとあまりに広い敷地のためにとても混んでいるようには見えない。バレーボールをして遊ぶ若い人たちや思いっ切りボールを蹴って走り回る子供たち。普通の公園なら文句が出そうな光景だが、ここでは全然邪魔にならない。それくらい広いのだ。
残雪が残る岩手山と新緑の森。そして手入れが行き届いた芝生。太陽の光は強いが吹き渡る風がとても爽やかだ。孫も喜んで走り回っている。妻もカメラを手にしてそんな孫を追いかけている。
遊んだあとは小岩井農場のソフトクリームや牛乳を味わい、ハロウミチーズやカチョカバロといったここでしか買うことが出来ない手作りチーズを買ってみたりと、楽しい時間はあっという間に過ぎて行った。
息子に盛岡市内のホテルまで送ってもらい、彼らは温泉宿へと向かって行った。
「行きたかったなあ、温泉」
走り去っていく自分のクルマを恨めしげに眺めながら、溜息をもらす私。
何となく諦めきれない思いのままホテルへチェックインしたのだが、このあと思いも寄らない事態が起こってしまった。その話はまた明日。

コメント

アミ
2019年5月21日15:55

早く続きが読みたいです!

我が家も似たようなことたびたび…。
お嫁ちゃんも悪気はないんでしょうが、親に配慮が足りませんね。
姑根性丸出しで、少し、イカッてる私です。(-_-;)

マダムM
2019年5月21日18:34

感想を書こうとしていたら、娘が余分は情報を!警官が数人で道路の血液を洗い流していたと!なんだろう?・・・傷害事件?交通事故ではないらしい・・・
我が家では経験する事のない事柄ですよ。楽しく(?)夫との二人行動しかないから。最近ドライブはしてないなぁ、もっぱらスーパーですもの(-_-;)
ヒコヒコさん、上手いなぁ、明日にヤマを持って行くテクニック(笑)

ヒコヒコ
2019年5月22日8:09

アミさま
いらぬご心配をおかけしました。
まあ、それでも、思いも寄らぬ岩手旅行が実現したので、今は満足していますよ。
今度は一緒に同じ宿へ泊って、美味しいものでも食べることが出来ると思います。
雨降ってナントカというやつです。

ヒコヒコ
2019年5月22日8:24

マダムMさま
道路の血液を洗い流していたなんて、そちらの方が気になってしまいます。
何でしょうね?事件でしょうか?
さて、私たち夫婦も子供たちと行動を一にすることは滅多にありませんでしたが、孫が生まれてからは少々様相が変わって来ました。
孫というのは無条件で可愛いものです。そして少しでもそばに居たいものです。以前に比べれば息子夫婦と一緒に過ごす時間が増えたのも、孫のお陰だと思っています。妻との会話も孫の話が中心になってしまいました。子は鎹(かすがい)ならぬ孫は鎹でしょうか。

そんなわけで、続編はまもなくアップ致します。

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