8年前、東日本大震災という未曽有の大災害を経験したが、その時一番大変だったのはライフラインがすべて断たれてしまったことだった。
大災害なのだから当たり前と言われればその通りだが、いざ水道、電気、ガスなどのライフラインすべてが使えなくなってしまうと、本当に困ってしまう。
まず、断水してしまうと、水を飲むことも料理をすることも、そして洗濯や入浴も出来なくなる。さらに切実な問題として水洗トイレを使用することが出来ない。
また、電気が無いと電化製品は使用不能となるが、冬場に困るのは暖房だった。エアコンも温風式石油ストーブも電気が無いと稼働しない。
実は私は過去何度も大きな地震を経験している。1968年の十勝沖地震、1978年と2005年の宮城県沖地震、1983年の日本海中部地震、2003年宮城県北部地震、そして2008年岩手・宮城内陸地震等々。何故かこれらの地震の際に、偶然にもその被災地に居合わせて来たのである。まさに地震男である。そしてこれらの大地震のうち、1968年の十勝沖と1978年の宮城沖の2つの地震では、ライフラインが完全に止まってしまった。
だがそのことによって、大災害の際にはこのようにした方が良いということを幾つか学ぶ事が出来た。
そのことが後の東日本大震災において役立ったことも少なくなかった。そこで私が実際に役に立ったと感じたことを具体例として紹介させて頂くので、参考になれば幸いである。

◎まず水を溜めよう。
大地震の直後といっても電気などと違い、水はすぐには止まらない。そこでバスタブに水を溜めたり、鍋やヤカンなど空いている容器にも水を溜めた。これは後で本当に助かった。
風呂の残り湯がある場合は、その水が水洗トイレに使用できるので捨てないようにしたい。

◎反射式ストーブ
電気が止まってしまうと電化製品は使い物にならないことは先に述べた。東日本大震災のように寒い時期の震災では暖房が無いのが一番つらい。そんな中、反射式ストーブがとても役に立った。ストーブの上ではお湯も沸かせるし、ちょっとした調理も出来る。そして温風式に比べると灯油もあまり消費しない。
ガソリンや灯油が入手困難になるのは必至なので、このようなストーブが1台あると心強い。

◎ラップやアルミホイール類
水は貴重品になるので、食器などを洗うことはほぼ出来なくなる。そんな時、サランラップやクレラップといったビニールラップが大いに役に立った。
食器にラップを被せて使用すれば、食器を洗う必要が無くなるからだ。紙の皿も無駄に捨てることはなくなる。

◎LEDライト
電気のない生活が続いたのが東日本大震災だった。夜になると闇の中での生活を余儀なくされる。昔ならロウソク生活といったところだが、余震が続く中での火の使用は危険だ。その点、今はLEDライトという便利なものがある。電気の節約にもなるし、それひとつで部屋中が明るくなるような大光量のLEDランタンも比較的安価で手に入る。
LEDライトではなくても、懐中電灯の一本くらいは常備しておいた方が安心だ。
ただし、どこに置いておいたか忘れてしまい、暗闇の中で探さなくてはならないということにならないよう気をつけたい。

◎ボディーシートやデンタル・リンス
水が使えないとなると入浴が出来なくなる。そこで役に立ったのは汗拭き用のボディーシートなどだ。また、歯みがきも大切だが、デンタル・リンスはとても役に立った。
被災した高齢者の中には、口中を清潔に保てなくて肺炎を引き起こしてしまったケースもある。

◎カップ麺やレトルト食品、フリーズドライ食品
腹が減っては戦は出来ぬ。やはり食事は一番大事だが、冷蔵庫や電子レンジなどが使えないので、お湯だけで食べることが出来るインスタント食品は便利だった。同じカップ麺でも、麺自体に味付けがされているものと、スープや具材が小分け袋に入っているものがあるが、前者の方がゴミもあまり出ないので良いと思う。
ちなみに私はほぼ毎日、自衛隊が配給する食事を頂戴していた。牛丼やカレー丼が毎日交互に提供されたがとても美味しかった。不謹慎かもしれないが、朝昼晩と三度三度食べていたら、被災前よりも太ってしまった。
尚、ドライフルーツが良いとする話もある。ただし、歯が弱いとちょっと厳しいかもしれない。

◎カセット・コンロ
カップ麺を食べるにもお湯が必要だ。昔、我が家は都市ガスでもプロパンガスを使用していたので、宮城県沖地震の際はそれが役に立った。ガスのラインが遮断されても、自宅のガスボンベで一月以上は使用できた。
そんなプロパンガスが無くても、卓上コンロ(カセット・コンロ)が1台あれば、かなり役に立つ。ただし、使用法を間違えると思わぬ事故に遭う場合があるので要注意だ。

いずれにせよ、備えあれば憂いなしである。常に防災意識は頭の片隅に置いておきたい。

コメント

アミ
2019年3月14日10:51

有難うございます!
実地の体験話は、すごく貴重です。
全部は無理だけれど、出来ることから、備えて行きます。
水。 特に参考になりました。

ヒコヒコ
2019年3月14日12:15

アミさま
もしもの場合に、多少なりともご参考になれば幸いです。
なによりもこういう事態にならないことを望むばかりですが。

まるこ
2019年3月14日15:00

ほほう!!なるほど。
これは貴重なアドバイス。早速我が家も話し合ってみます。
ちょっとづつでも揃えておけば良いんですもんね。
きっと家が全壊、半壊しなければ避難所へは行かないつもりなんです。
この家でじっとしていようかと思っています。
もしかすると仔犬を飼うかも知れないので、その子を置いていけませんもの。
有り難い事に会社ではお客様の分社員の分相当な非常食や飲料を備蓄しているんです。何もなければ賞味期間が短くなった分は社員に配られます。なので乾パンや氷砂糖、フリーズドライのご飯や、おこわ、スープなどなど持ち帰って来るんですよ。それを備蓄しています。防火の非常持ち出し袋の中身も全てセットされているものが労働組合から配られました。そしておまけに私がテレビを買った時に応募した非常持出し袋セットが当選しまして、丸々2個あるんです。ヘルメットまでも。夫の会社の労働組合の毎年の記念品がLEDライトだったり、100時間燃えるランタンだったり、ラジオ付き発電機能付きライトだったり、防災グッズが多いんです。変わった会社ですけど実際買わずに済むので助かります。
そうですね、あとは乾電池やライターなども便利ですね。
まさに備えあれば憂いなし。災害大国日本に生きる者の宿命ですね。

マダムM
2019年3月14日21:09

貴重なアドバイス、ありがとうございます
知識としてはあっても、体験したことが無いのでピンと来ないところもありましたが、実際に体験された方のアドバイスは身に沁みます。
東京都はトイレットペーパーの備蓄を推奨しています。後は昨年の北海道の地震の時、ネット情報の重要性が言われましたね。
私は病院から出されている薬は一週間分、余分に持っています(通常2週間分処方)。それと救援物資として後回しにされそうな紋ちゃんのカリカリとネコ砂、ちょっとした嗜好品(コーヒー、紅茶等)も備蓄してます。
地震をはじめ大きな天災が来ない事を祈るのみです。

ヒコヒコ
2019年3月15日2:13

まるこさま
防災意識がとても高い会社ですね。私の知る限りではそのような会社は見当たりません。
不幸?にして我が職場ではそのような支給品は一切無いため、自ら買い求めなければなりません。ですから食料品などは毎日少しずつ買い貯めています。ところがそうやって貯めておいた非常食がいつの間にか無くなっていたりする。犯人は息子たち。
腹が減るのは分かるけれど、なにも非常食から食べなくてもと憤慨することの繰り返しです。
それから書き忘れましたが、普段飲んでいるクスリなどがあれば、切らさないように注意した方がいいですよ。また、自家用車がある場合は常に満タン状態をキープすると良いと思います。寒い時はクルマに乗って暖をとることも出来ますからね。

ヒコヒコ
2019年3月15日2:33

マダムMさま
トイレットペーパーの備蓄は必要だと思います。我が家は他にもボックスティッシュをかなり買いこんでいます。それからクスリも60日分は貰っています。高血圧とコレステロールのクスリですが、これは大切なことですからね。
また、ペットがいる世帯は大変です。エサも切らすことは出来ませんからね。
余談ですが親戚の息子が避難の途中で、飼い犬を家に繋いだままだったことを思い出し戻ったと言うことです。結局、息子は二度と再び帰ってくることはありませんでした。悲しい話です。
そのことを思い出すたび、災害は起きて欲しくないと強く思う次第です。

マダムM
2019年3月15日11:25

トイレットペーパーの備蓄は、静岡に集中している工場が壊滅する事、搬送する道路の分断(東名)を想定してのものだそうです。

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