昨夜の話。家の近所のコンビニへ買い物に出かけた。妻に頼まれた物を購入し、ちょっと雑誌を立ち読みしてから店を出た。
暗い歩道には私の10メートルほど先を、小柄な老婆が買い物用のキャリーカートを引きながら歩いている。老婆だと分かったのは、腰が曲がっていたからだ。
直角に近い角度で腰を曲げているので顔は分からない。ニットの帽子を被っているようだが、雨でもないのに長靴を履いている。闇の中でも水色だと分かる長靴は、大人用というよりも小学生が履くような大きさだ。
街灯があまりない暗い歩道だが、キャリーカートには奇妙な程に大きく膨らんだレジ袋が2つ3つと括り付けられていた。
当然ながら私の方が足が早い。老婆までの距離はぐんぐん縮まり、そして一気に追い抜いた。と、その時である。突然の奇声。と言うよりも高笑い。
私は思わず足を止めた。一瞬心臓が止まるかと思った。恐る恐る後ろを振り返ると、高笑いを続けるあの老婆が、あれほど腰が曲がっていたにもかかわらず、後ろに反り返って笑い続けている。
一体何が可笑しいというのか。老婆の不気味な笑い声だけが深夜の歩道に響き渡った。
私はとにかく急ぎ足でその場を離れた。後ろの方では相変わらず老婆の笑い声がする。
横断歩道を小走りに駆け抜け、自宅の前の路地に入った。
既に笑い声は聞こえなかったが、鼓動は早鐘のように打ち続けていた。
もう一度振り向いて、誰もいない事を確認してから家の中に入った。
今あった出来事を妻に話したら、そういう老婆がいることは噂で聞いていたという。それを聞いてひとまず安心した。
また、この世のモノではなかったらどうしようかと思ったからだ。
それにしても、びっくりした。

コメント

まるこ
2019年3月10日11:30

えええーーーっ!!
それってリアルに怖いですね。どこの方でしょう??
ヒコヒコさんのお住まいのお近く何ですかね??
警察に職質されそうな風体。ふむ。その老婆…一体何者でしょう??
でも…もしかして認知症とか精神的な病気とかではないでしょうかね??
ちょっとの方の身の上が心配になりました。
民生委員さんとか市役所の支援課とかのお力が必要な方だったら…心配ですね。

マダムM
2019年3月10日14:13

以前高田馬場に住んでいた頃、近所(?)に双子の老婆、という方々が居た。白髪のおかっぱで、同じ服装で手を繋いで歩いてました。ただし「昼間」でした。不思議な雰囲気でした。そう言えば、スーパーで出会うお婆さん、元は白かったロングコート、元は白かった靴、白髪交じりの髪はぼさぼさ、不潔感満載で最低限の買い物をしてます。よくお店が出禁にしないものだと思うくらい。
ヒコヒコさんの所のお婆さんも近所では公認なんでしょうね。ネコの餌やりに夜中に活動するお婆さんもいるし、でも高笑いは聞かないです(-_-;)

ヒコヒコ
2019年3月10日15:52

まるこさま
いやあ、本当にびっくりしましたよ!
季節柄、その手の人が出てくるのかなと思いましたが、私が知らなかっただけで、この辺りでは結構有名な人のようでした。
携帯電話で話をしていると、突然後ろから怒鳴られた人もいるようです。
家族がいるのかいないのかは分かりませんが、どうにも気になります。
それにしてもあの笑い声。まだ耳の奥に残っています。

ヒコヒコ
2019年3月10日16:18

マダムMさま
まるこさんのコメントにも書かせて頂きましたが、町内では有名人のようでした。暗闇ではありましたが、清潔とは言えそうもない格好でした。あのパンパンに膨らんだレジ袋には一体何が入っていたのでしょう。ちょっと気味が悪いですね。
あの高笑いは私に対してのものだったのか、それともまったく違うのか、それも気になります。
しばらくの間は夜の歩道がトラウマになりそうです。

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