¿Quién puede matar a un niño?
最近、憂鬱になるニュースがある。
それは幼児虐待のニュースだ。
親や大人からの暴力を受けて、傷つき、そして命を落とす子があとを絶たない。
また口惜しいのは、そういう状況にあることを周囲の大人たちが分かっているのにも関わらず、子どもたちを救い出すことが出来ないことだ。
私も親父も幼児虐待のニュースがテレビから流れるたびに、思わずチャンネルを替えたりスイッチを切ったりしてしまう。
傷ついた子どもたちの姿が目に浮かび、いたたまれなくなるからだ。

思えば子どもに対する暴力は昔からあった。
抵抗する術を持たない子どもたちは、いつも馬鹿げた大人たちの餌食となった。
今も世界に目を向ければ、戦火に晒されて命の危機に怯えながら暮らしている子どもたちが大勢いる。
助けたいがどうすることも出来ないこのもどかしさ。

私がまだ学生の頃、たまたま映画館で観たスペインのホラー映画。
原題は「¿Quién puede matar a un niño?」。誰に子供が殺せるのか、というショッキングなタイトルだったが、さすがに日本では「ザ・チャイルド」と改題された。
物語の内容は、バカンスでスペインのある町を訪れたイギリス人夫婦が、沖合に浮かぶ小さな島へ渡るのだが、なぜかその島には大人の姿が見えず、子どもしかいないのだ。そのことに不審を抱く夫婦が目にしたものは、大人を惨殺する子どもたちの姿だった。

ではなぜそのようなことになったのか、映画はその理由を何も語らない。
しかし映画の冒頭、タイトルの背景に流れる映像は過去の戦争や紛争などで傷ついた子どもたちの姿だ。
そう、彼らの怨念が子どもたちへ乗り移って、大人たちへ復讐を始めたことを暗示しているのである。
映画のラスト、子どもたちのリーダーが船で島を出ていくシーンがある。
まだ復讐は始まったばかりだと言わんばかりの表情が印象的だった。

この映画には余談がある。
それは音楽を担当したワルド・デ・ロス・リオスが映画の完成後にマドリッドでピストル自殺を遂げたことだ。
ワルドといえばクラッシックの名曲をポップスにアレンジするという、いわゆるポップクラシカルの先駆者で、ヨーロッパで彼のレコードは大いに売れた。
当時この衝撃的な出来事に、これは映画に関わった呪いだと人々は噂した。

劇中、イギリス人夫婦が島へ渡るシーンに流れる曲がある。
もちろんワルドが作曲したものだが、ホラー映画には似つかわしくないとても美しい曲だ。主人公の妻の名前をそのままタイトルにした「エベリンのテーマ」とクレジットされている。
YouTubeのアドレスを載せるので、興味のある方は一度耳にして頂きたいと思う。そしてワルドは一体どんな気持ちでこの曲をこの映画にあてたのだろうか。
そのことを少しだけ考えてみて欲しい。

ザ・チャイルド エベリンのテーマ
https://www.youtube.com/watch?v=AZuCqACSyq4


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