男はつらいよ

2005年8月14日 映画
 このところ仕事が忙しく、家に帰ると何もしたくなくなってしまう。社業が順調で忙しいのならまだ救われるが、状況はその正反対だ。思えば会社が設立して、三十三年くらいになるのだろうか。女性でいえば、三十三歳は大厄である。その厄をまともに食らった感じがする。
 人間でもそうだが、こういう時はじっと耐えるしかない。じたばたしても仕方がない。待てば必ず風向きが変わってくる。もちろん出来得る限りのことをした上での話だが...。

 最近は身体の疲れよりも、精神的疲労の方が大きい毎日だが、今私の唯一の慰めは、BS2で放映されている「男はつらいよ」シリーズを観ることである。
 国民的映画と呼ばれるこのシリーズを、正直に言うとあまり観ていないのである。全48作品中、おそらくきちんと観たのは10作品にも満たないのではないか。だから、このNHKの「あゝ失恋48連発」と銘打った今回の企画には大いに期待している。とはいうものの、全部を観ることはおそらく無理だろう。せめて半分くらいは観たいと願っている。

 ところで、既に数作品を観終わって、ふと気がついたことがある。今更なあんだと言われそうな気がするが、寅さんは柴又へ帰ってくる時には、必ず江戸川の堤をぶらぶら歩きながら帰ってくるのに、恋に破れて去る時は、風のように電車で去って行ってしまう。
 故郷に舞い戻る時の嬉しさと、失恋の辛さをそのような形で表したのだろうが、毎回お決まりとはいえ、実に演出が巧いと思う。
 それにしても辛い時には寅さんのように、パアーッとその場から逃げ出せたらどんなにか良いだろうと思うけれど、それが出来ないのが現実だ。悲しいことに寅さんよりも辛い人達が、この世にはゴマンといるのである。
 寅さんはそんな彼らの代わりに、遠くへ逃げてくれるのだろう。

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