今年も庭の花梨の木に、たくさんの実が生った。道路沿いに植えているので、道行く人たちからもよく見える。秋口に入り、ご近所の人たちからは「今年もたくさん実がついたね」と言われていた。
特にお隣りのOさんはカリンの出来を毎年楽しみにしているひとりだ。
何年か前に収穫したカリンの実を何個か差し上げたところ、大いに喜ばれた。それ以来、毎年実が生るとお裾分けをしていた。
Oさんの話ではシロップ漬けにしたりカリン酒にして楽しんでいるという。
カリンは生のままでは食することが出来ない。実が固いということもあるが、毒性があることが一番の理由だ。このことは意外と知られていないようである。私もそのことを知ったのは、つい最近のことである。
そういえば、鳥がその実を啄みに来たのを見たことがない。彼らは毒があることをちゃんと知っているのだろう。だとすれば凄い能力である。
私など腐ったものを気づかずに食べてしまって、あとで大変なことになる。尤も親父などは腐ったものを食べても腹を壊したことがない。それはそれで凄い能力ではあるが。
さて、苗木で買ったときには私の背丈よりも低かったのに、今では倍以上の高さにまで育ってしまった。花梨が高木であることは知っていたが、こんなに速いペースで育っていくとは夢にも思わなかった。
まだ背が低かった頃は実を取るのも簡単だったが、さすがにこうも背が高くなると、木の上の方に生る実は取ることが出来ない。
脚立に上がって取ろうと思ったが、危ないからやめてと妻に言われ、そこで柄の長い熊手を持ち出し、その先に実を引っ掛けてはひとつずつ落とすという作戦に打って出た。
これが案外うまくいって、実がポトリポトリと落ちて来る。木の下は落ち葉や枯草などでクッションになっているので、実が痛むこともない。
今年はどの実も概ね大きいものばかりだが、中には赤子の頭ほどの大きさの物もあった。
早速、その実を拾ってはエコバックの中に詰めていく。この時が一番楽しい。まさに「収穫」しているという感じがする。
周囲にカリンの芳香が漂う中、もう落ちている実はないかと辺りを見回す。と、その時、妻の「あっ」という声が聞こえたような気がした。
カリンッ
私の頭の中で、そんな音が聞こえたような気がした。めまいもほぼ同時だったかもしれない。
イデデデデッ!!
木の枝先に残っていたカリンの実が落ちて、私の頭を直撃したのだった。
私は思わずその場にうずくまった。
少し離れた場所で見ていた妻が駆け寄って来た。
「大丈夫?カリンの実?」
おいおいおい、カリンの実のほうかい。
妻は傍らに落ちていた直撃カリンを拾い上げ、「少し傷がついているけどキレイだね」と私に差し出した。
「頭、大丈夫?」
私の頭は二番目のようである。
「頭に当たった時に、カリンッて音しなかった?」
その妻の言葉にムッとしながら「した」と答えた。
特にお隣りのOさんはカリンの出来を毎年楽しみにしているひとりだ。
何年か前に収穫したカリンの実を何個か差し上げたところ、大いに喜ばれた。それ以来、毎年実が生るとお裾分けをしていた。
Oさんの話ではシロップ漬けにしたりカリン酒にして楽しんでいるという。
カリンは生のままでは食することが出来ない。実が固いということもあるが、毒性があることが一番の理由だ。このことは意外と知られていないようである。私もそのことを知ったのは、つい最近のことである。
そういえば、鳥がその実を啄みに来たのを見たことがない。彼らは毒があることをちゃんと知っているのだろう。だとすれば凄い能力である。
私など腐ったものを気づかずに食べてしまって、あとで大変なことになる。尤も親父などは腐ったものを食べても腹を壊したことがない。それはそれで凄い能力ではあるが。
さて、苗木で買ったときには私の背丈よりも低かったのに、今では倍以上の高さにまで育ってしまった。花梨が高木であることは知っていたが、こんなに速いペースで育っていくとは夢にも思わなかった。
まだ背が低かった頃は実を取るのも簡単だったが、さすがにこうも背が高くなると、木の上の方に生る実は取ることが出来ない。
脚立に上がって取ろうと思ったが、危ないからやめてと妻に言われ、そこで柄の長い熊手を持ち出し、その先に実を引っ掛けてはひとつずつ落とすという作戦に打って出た。
これが案外うまくいって、実がポトリポトリと落ちて来る。木の下は落ち葉や枯草などでクッションになっているので、実が痛むこともない。
今年はどの実も概ね大きいものばかりだが、中には赤子の頭ほどの大きさの物もあった。
早速、その実を拾ってはエコバックの中に詰めていく。この時が一番楽しい。まさに「収穫」しているという感じがする。
周囲にカリンの芳香が漂う中、もう落ちている実はないかと辺りを見回す。と、その時、妻の「あっ」という声が聞こえたような気がした。
カリンッ
私の頭の中で、そんな音が聞こえたような気がした。めまいもほぼ同時だったかもしれない。
イデデデデッ!!
木の枝先に残っていたカリンの実が落ちて、私の頭を直撃したのだった。
私は思わずその場にうずくまった。
少し離れた場所で見ていた妻が駆け寄って来た。
「大丈夫?カリンの実?」
おいおいおい、カリンの実のほうかい。
妻は傍らに落ちていた直撃カリンを拾い上げ、「少し傷がついているけどキレイだね」と私に差し出した。
「頭、大丈夫?」
私の頭は二番目のようである。
「頭に当たった時に、カリンッて音しなかった?」
その妻の言葉にムッとしながら「した」と答えた。
コメント
若かりし頃、花梨酒に挑戦し、その実の固さに閉口した覚えがあります。それ以後、花梨に触っていません(-_-;)
しかし、花梨の実が沢山ついている光景は、見ごたえがあっていいですね。毒があるとは知りませんでした。
しかし、痛かったですね ヒコ様。キズなどできていませんように。
私も毒を持っているとは知りませんでした。
河原に一本あるのですが、そろそろと思った頃にはもう裸になってます。
散歩する人も、毎日のように収穫時期を計算しているのでしょう。
只今、そのコブをさすりながら返信書いてます。
カリンの直撃を受けたあと、すぐにトチの実を焼酎でつけたエキスを頭に擦り込みました。これが結構打撲などに効くのです。
それにしてもカリンの実だとかトチの実だとか、実のなる話ではあります。
頭にコブを、それもてっぺんに作ったのは、子どもの時以来ではないでしょうか。このショックで頭が良くなってくれるといいのですが、まあ無理でしょう。
ところでその時から、妻と口をきいておりません。我慢大会の真っ最中です!
なるほど「厩火事」ですか。
旦那よりもカリンが大事。カリンは傷がつくけど、旦那はコブのひとつも作っておしまい。
いえいえ、心に傷が残りましたよ。
てなことで、只今かみさんとは冷戦状態です。また日記のネタが増えました。
我が家の庭で自慢の出来るものはほとんどありませんが、この花梨だけは少々自慢が出来るかなと思っています。実がいっぱい生るとそれは見事ですよ。
マダムMさんにお見せ出来ないのが残念です。
心に傷は負いましたが、身体にはコブのひとつで済みました。
頭のコブは現在ほっこりではなく、モッコリしております。
カリンに毒性があるとは文中にも示しましたように、最近まで知りませんでしたが、お酒に漬けると無くなるという先人の知恵は大したものですね。
往来の人たちも皆さん見上げておりましたから、もう少し低い位置に生っていたら、河原の花梨のように、いつの間にか無くなっていたかもしれません。
まあ、別に持って行かれてもいいんですけどね。その代わり「直撃注意」の貼り紙でもしておきますか...